ふつつかものですよ

結婚3年目 2018年12月女の子を出産。育児関連の書評、日常について綴っています。ふつつかものですが日々開き直って生きています。

歌丸師匠と家族団らん

結婚前、実家にいた頃の事。

我が家の夕食時のテレビにはいつの頃からか高確率で笑点が映っていました。

高校生の弟、20代社会人の私と妹、50代の両親、80代の祖母という会話の共通点が少ないメンバーが気まずくならずに、時には笑いながら食事の時間を過ごすための父のチョイスでした。

 

たまに圓楽さんが司会の過去の放送もあったし、週に3日は笑点を観ていた気がするので再放送も録画して夕食の時間に流していたんだと思います。(あとは空から日本を見てみようの録画とVS嵐率が多かった。大野くん好きな祖母…。)

 

はじめは(バラエティ観たいなー。でもお祖母ちゃんが楽しめる番組少ないし仕方ないかー。)と思って流し見してましたが、回を重ねて出演者のネタのお約束がわかってくると段々楽しめるようになりました。

 

毒舌と政治ネタを器用に入れてくる円楽さん。

嫁が来ないとネタにされる昇太さん。

歌ったりラーメンだったりフリーダムすぎる木久扇さん。

ちょいちょい犯罪者ネタが入る小遊三さん。(昔何かしたの?)

座布団運んでたまに裏からツッコミに来てと忙しい山田くん。

そして「じじい」「骸骨」「病人」「棺桶に足突っ込んでる」とこっちが心配になるくらい容赦なくいじられる司会の歌丸師匠。

(特に印象に残ってるメンバーのみですみません)

 

ある日いつものように笑点を観終わると、「桂歌丸60周年記念興業」で歌丸師匠が私の住んでいる県に来るとのCMが流れました。

私と妹は「えーウソ!」「生で師匠見たい!!」とアイドルでも来るかのようにきゃあきゃあ盛り上がり、家族に提案して全員分のチケットを手配。

秋の夜、家族6人揃って歌丸師匠の落語を聴きに出かけたのでした。

 

県では大き目のホール。2階席でしたが前の列で舞台全体を見渡しやすい席。

始めに前座の方が2人ほど小噺をして、その後に歌丸師匠の落語が始まりました。

 

記憶にあるキーワードで調べたところ、演目は「竹の水仙」というものでした。

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(いらすとやに素材があるほど人気な演目なんですね)

落語 竹の水仙 桂歌丸 - YouTube

(↑埋め込みできませんでしたが、こちらの動画だと途切れずに見られます。)

 

舞台に登場すると流れるように始まる語り。

正直、前座のお二方は聞いている途中でうとうとする場面もあったのですが・・・

歌丸師匠の心地良い語り口や細かな仕草に引き込まれて、時に笑いながら時に聞き入りながら終始集中して楽しむことができました。

 

この演目の動画を改めて見て、40分もあったのかと今更ながら驚いています。ハデな動きも音楽もないのに飽きさせることなく聴かせる。

これぞ芸だと思います。

 

他の家族も同じように感じたようで、歌丸師匠はさすが!私たちのような落語を知らない人間でも楽しめるんだから、やっぱりすごいねえと言い合いながら家路についたのでした。 

 

数年後。

歌丸師匠が司会をする最後の笑点も家族で見ていました。

メンバー全員が訝しむくらい景気よくどんどん座布団をあげて、最後に全部没収する最高のオチ。

寂しいけれど、歌丸師匠らしい。最後まで家族で笑える楽しい笑点でした。

 

それから更に時がたった昨日、2018年7月2日。

歌丸師匠が亡くなられたとのニュースを耳にして、真っ先に思い出したのは家族で歩いたあの秋の夜のこと。

 

祖母はあれからめっきり足が悪くなり、認知症のケも出てきて劇場に足を運ぶなんてとてもできなくなりました。

私は2年前に結婚して家を出たし、妹も今年転職で引っ越しの予定。高校生だった弟は就職して仕事に遊びに忙しい日々。

私・妹・弟・両親・祖母で揃って遊びに出かけたのは、思い返せばあの日が最後でした。

 

生まれて初めての落語と、家族揃って最後のお出かけ。

それが歌丸師匠の寄席だったこと。

色々な意味で、とても贅沢で貴重な、良い時間だったなあ。

 

オチに「それはできないよ。竹に花を咲かせたら、寿命が縮んでしまう。」とある演目を選んだのも、もしかしたら笑点でいじられていた師匠の遊び心だったのかしら。

 

歌丸師匠、お疲れさまでした。

楽しい家族団らんの時間をありがとうございました。